いま、ひとりの おんなのひとが、ながい あいだ くらしていた いえを でました。
エアは、そっと どうかを さしだしますが、
そんなものは、おんなのひとにとって なんの なぐさめにも ならないのでした。
つぎのひのこと。
エアは、どうしても あの おんなのひとが きになって、
まちじゅうを さがしまわりました。
おんなのひとは、まちはずれの のはらで よこになっていました。
わずかに のこった どうかと、さめた スープが わきにおかれています。
つめたい かぜが ふきました。
エアに きがついた おんなのひとは、
かなしく、そして やさしいめをして、ふっと ほほえみました。
そっと、ゆびさした そのさきには、いちりんの はなが さいていました。
まっしろい はなでした。
おんなのひとは、はなやさんを していました。
けれど、おもうように はなはうれずに、
いえを でていかなくは ならなくなったのです。
エアは、いそいで まちまで もどると、おおきな ふくろ いっぱいに、
はなの たねを かって もどってきました。
その たねを うけとった おんなのひと。
ひとつぶ ひとつぶ、なにもない のはらに、たねを うえました。
「かなしいことも あるよ。でも、すべてのことに いみは あるんだ」
また、つめたい かぜが ふきました。
けれど、それは さっきまでの かぜとは ちがっていました。
いつか、この のはらは、かぞえきれないほどの はなが さきみだれることでしょう。
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