ちいさな まちの すみっこに、
ひとりの おとこのこが すわりこんでいます。
あめのふる、さむい よる。
ひとりの しょうじょが、
おとこのこの まえに やってきました。
てにもった ちいさな かさ。
ぽたぽた、と しずくが おどりだします。
エアです。
さみしそうに うずくまる おとこのこに、
エアは、いっぱいの コーヒーを さしだしました。
おとこのこの のどに、
エアの やさしさが ながれおちていきます。
えがおになった、おとこのこ。
かさを しずかに じめんに おくと、
エアは、やどへと かえっていくのでした。
つぎのひのこと。
エアが、あの おとこのこの ところに やってくると、
たくさんの ひとだかりが できていることに きがつきました。
ふしぎにおもった、エア。
すぐに、おとこのこ ところへと むかいます。
とても いい かおり。
しゃり、しゃり、という ここちいい
おとも きこえてきます。
そこに あったもの。
それは、クリームのような ゆげを たてている、
コーヒーでした。
エアからもらった、あの コーヒーの かんどう。
おとこのこは、それを みんなに つたえたかったのです。
いらなくなった コーヒーメーカーを ゆずってもらいました。
うれしそうな おとこのこの かお。
そして、おいしそうに コーヒーを のむ、
みんなの すがた。
エアは、それをみているだけで、
こころが あたたかくなるのを かんじるのでした。
それから、しばらく たった あるひのこと。
エアは、この まちを でることに きめました。
おとこのこの ところへ
さいごの あいさつに むかいます。
その とちゅうのことです。
エアの めのまえを、
だれかが かけていきました。
おとこのこです。
そのあとを おいかけるように、
ふたりの おとこのひとが はしっていきました。
エアも、いそいで あとを おいかけます。
しばらくいくと、おとこのこが
おとこのひとに つかまっているのが みえました。
エアは、かたで いきをしながら、
おとこのひとに、はなしを ききます。
じめんに ころがっている、よごれた コップ。
それは、おとこのこが、
コーヒーを いれているものでした。
なかには、タバコのすいがらが はいっていました。
めがくらんだのです。
まずしい くらしをしていた、おとこのこ。
コーヒーが うれることに きがついて、
おかねもうけに はしってしまったのでした。
だれかが のこした コーヒーを、
ほかの だれかに うればいい。
そんなことを かんがえてしまったのです。
エアが ひっしに あやまる すがたに、
おとこのひとたちは、まちのほうへと かえっていきました。
しずかな じかんが ながれました。
エアは、おとこのこを たたせると、
すぐに まちに むかって あるきだします。
そして、コーヒーメーカーのところまで、やってくると、
しずかに コーヒーを つくりはじめました。
できあがった コーヒー。
それは、ほんとうに さみしそうな いろを していました。
おとこのこの のどに、
エアの さみしさが ながれおちていきます。
また、あめが ふりだしました。
なみだが あふれました。
あめにまじって、ほほを つたいました。
おとこのこのめに、
ちいさな ほのおが ともったのを、
エアは しっかりと みつけました。
もういちど、かんどうするような コーヒーを つくろう。
おとこのこは、そう かんがえなおして、
ひっしになって まめを ひきだしました。
「たいせつなのは、だれかのために なりたい、と おもうこと」
とても いい かおりが してきました。
もうすこし、ここにいよう。
エアは、こころのなかで、そう つぶやくのでした。
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