紫色をした、その鳥に投げられた小石で、
エアは額の上にキズを作りました。
ここは、小さな森に囲まれた、小さな町。
子供たちが、気味の悪い色をした鳥に罵声を浴びせます。
ゆっくりと歩き出す、エア。
細い指を重ねると、森の中の小屋に向かって歩いていくのでした。
エアが木で出来たドアをノックすると、
中から弱々しい声が聞こえてきました。
森に住む学者のおじいさんです。
エアは紫色の鳥をカゴに入れると、
ふらつきなあら歩いてくる、おじいさんに駆け寄ります。
おじいさんは、すまなそうに微笑むと、杖をついて鳥カゴの場所に向かいました。
顔中に刻まれたシワから、優しさが溢れてきます。
森で偶然、見つけた珍しい鳥。
どうして、紫色をしているのか。
どうすれば、元の色に戻ることが出来るのか。
その答えを知るために、おじいさんは毎日、研究に励みました。
徹夜が何日も続きました。
食事も、ろくに摂りませんでした。
そのせいで、どんどん弱っていく、おじいさん。
その姿を毎日見ていた、紫色の鳥。
僕がいると、おじいさんに迷惑がかかる。
僕は、ひとりぼっちの方がいいんだ。
研究中、カゴが開いた瞬間に、紫色の鳥は外の世界へ飛び出したのでした。
森にいては、また、いじめられる。
そう思い、町へと出て行ったところを、エアに救われたのです。
無事で良かった。
そんな表情をした、おじいさんに、
エアはコーヒーを出してあげました。
あと少し。
あと少しで、研究も終わるんだ。
おじいさんは、遠くを見つめながら、苦いコーヒーを口にするのでした。
次の日のこと。
目を覚ましたエアは、紫色の鳥を、小さなカゴに移して、
森の中を散歩しました。
エアが一緒なら、他の鳥たちも手出しは出来ません。
とてもいい天気。
本当ならば、この大空を精一杯飛びたいだろうにな。
カゴの中を飛び回っている、紫色の鳥の姿に、エアは心を痛めました。
ふと、何かの音に気付いて、エアは足を止めました。
草むらの奥から、誰かの声が聞こえてきます。
木陰から覗き込むと、そこには、なだらかな川が流れていました。
そのほとりで、2人の男が笑い声を上げています。
手には、見たことのない色をした、ビンがありました。
どうやら、お酒のようです。
話が終わった男たちは、
そのお酒の入ったビンを、地面に放ると、森を後にしました。
その時です。
地面を転がっていくビンが、川に沈んでいきます。
すると、どうでしょう。
みるみるうちに、川が紫色に変わっていくではありませんか。
エアは、すぐに気がつきました。
この鳥が、どうして紫色になったのか。
このビンのお酒が混じった川の水を飲んでしまったのです。
エアは、急いで、もう1つのビンを拾い上げると、おじいさんの所へと向かいます。
研究室にいた、おじいさんに川でのことを話すと、
ビンと鳥カゴを置いて、町へと向かいます。
町の入り口に、あの2人の男たちが座り込んでいました。
エアに気付いた男たちは、
からかうようにエアに話しかけてきます。
大声で怒鳴る、エア。
町中の人たちが、何事かと集まってきます。
あの鳥が、どれだけの苦しんだことか。
誰のせいで、友達にも嫌われてしまったことか。
町中の人に非難される、2人の男たち。
遠くの空に、真っ白い姿をした鳥が見えました。
紫色の鳥の、本当の姿です。
「動物は、人間の都合で生きてるんじゃないのよ」
振り返ると、おじいさんが笑顔で立っていました。
涙が伝う、エアのほおに、白い鳥が、そっと口付けをくれるのでした。
『5分で癒される物語』を気に入っていただけたら、『お気に入り』に登録いただき、
今度はあなたのお友達にも、ぜひこの物語を教えてあげてください。
また、上のQRコードをクリックすると、携帯電話用のURL送信画面が開きます!
PC版のURLをお友達に送信
http://iyashi-story.com
『5分で癒される物語』を一緒に盛上げてくださる作家さんを募集しています!
詳しくは『作家さん募集ページ』まで
癒しの物語はリンクフリーです。
下のバナーを自由にお持ち帰り下さい。
![]()
(88×31 :小)
![]()
(100×28 :中)
![]()
(150×42 :大)
【ご紹介文】
5分で癒される物語を配信しています。時間がない人でもちょっとの時間にちょっとだけ元気になれる作品集
相互リンクについてはリンクページを準備中です。