高校を卒業してから、もう10年が経った。
当時の仲間で今でも連絡を取っているのは、数少ないけれど、圭介はその中の大切な一人だった。
トルルルル・・・・
トルルルル・・・・
ピ・・
『お掛けになったお電話は、お客様の都合によりかかりません・・・』
あいつはなにやってんだ・・。
ここ半年、連絡が繋がらない。
2週間に1度くらいの割合で電話をかけるが、この前までは電源が切れていてい、ついに料金が払えなくなったのか、連絡が取れなくなった。
中学校からのツレで、同じバスケ部だった圭介は、みんなの人気ものだった。
顔もかっこよくて、いつもふざけていながらも責任感があって、悪い仲間もいっぱいいたけれど、悪いことはしない奴だった。
中学生の時、バスケ部の試合で隣町までみんなで電車で行ったことがある。
相手先の学校までは駅からけっこう遠く、歩くと20分くらいかかった。
バスケ部の連中は、駅に停めてあった自転車の鍵を壊し始めた。
僕らの中学のなかでも、特にバスケ部は、ちょっと悪い奴ばかりが集まってて、集団で行動をすると調子に乗る癖があった。
当時の僕は、みんなの仲間はずれになるのが怖くて、盗みもしないけれど口出しもしなかった。
何人かが自転車に2人乗りをして行く後を、走ってついていっていた。
圭介は必ず隣にいて、一緒に走っていた。
あいつも人のものを盗む奴じゃなかった。
それでいて仲間はずれになるわけでもなく、必ずみんなの中心にいる奴だった。
そういう不思議な魅力を持っていた。
僕が中学校の時にいじめられなかったのは、あいつが側にいたからだと今は思う。
バスケの試合で僕がヘマをした時も、周りが冷たい視線を浴びせる中、圭介は必ず側によってきて「ドンマイ!」と声をかけてくれた。
圭介がいつも僕を仲間として受け入れてくれていたから、周りの連中も何もいえなかったんだろう。
圭介は僕と同じ高校に進学した。
同じバスケ部、同じクラス、そしてよく一緒に帰っていた。
けれど、2年生になってバスケ部に問題が起こった。
入学したばかりの新入生の中でも、ちょっとやんちゃだった奴をバスケ部の何人かが「シメ」た。
問題になって、バスケ部はしばらく活動停止処分をくらった。
僕はそんなこと全く知らなかったのでショックだった。
それきり僕は、陸上部に転部をし、陸上に情熱を燃やし始め、圭介はバスケ部に残った。
あいつがちょっと荒れ始めたのはその辺からだった。
高校まではなんとなく把握しているけれど、大学になったあいつがどんな生活を送ったのかはわからない。
ただ、社会人になってから地元で一緒に飲みに行った時に、通りがかったちょっと怖い青年たちが、
「あ、圭介さん! お疲れ様です!」と挨拶をしていくので、あいつがやんちゃをやっていたことだけはわかっていた。
そんなあいつに連絡が取れない。
実家を出て、フラフラとしているということだけは聞いているけれど、何かあったんだろうか。
僕は心配で、半年間電話をかけ続けた。
何やってんだろうなぁ・・・。
そう思った時、僕の携帯が鳴った。
圭介からメールだ。
「悪い。 いろいろいろいろいろあってさ。
また連絡する」
すぐに電話をしようかと思ったけれど、やめておいた。
携帯のメールを打ち込んでいく。
「気にすんな。何があったか知らないけれど、応援してるからさ。
またメシ食いにいくべ」
あいつはきっと、今辛い状況にいるんだろうと思う。
そんな時こそ、今度は僕が何も言わず側にいたいと思った。
『5分で癒される物語』を気に入っていただけたら、『お気に入り』に登録いただき、
今度はあなたのお友達にも、ぜひこの物語を教えてあげてください。
また、上のQRコードをクリックすると、携帯電話用のURL送信画面が開きます!
PC版のURLをお友達に送信
http://iyashi-story.com
『5分で癒される物語』を一緒に盛上げてくださる作家さんを募集しています!
詳しくは『作家さん募集ページ』まで
癒しの物語はリンクフリーです。
下のバナーを自由にお持ち帰り下さい。
![]()
(88×31 :小)
![]()
(100×28 :中)
![]()
(150×42 :大)
【ご紹介文】
5分で癒される物語を配信しています。時間がない人でもちょっとの時間にちょっとだけ元気になれる作品集
相互リンクについてはリンクページを準備中です。