「センター試験で上手くいきますように・・・」
今年に入ってから3回目の初詣で、同じお願いを3度した。
1回目は、年が明けてすぐに近くの神社にツレといって、お願い事をした。
2回目は、彼女と一緒に名古屋で一番大きな神社にいって、お願い事をした。
おみくじは、1回目は末吉で、2回目は吉だった。センター試験は微妙かな・・・と、なんだかちょっと不安にさせられた。
そして3回目は、もう一度地元の神社に家族で初詣に来ている。
「もう行ったからいいよ」と、毎年言うんだが、「こういうのは家族行事だから」と、毎年強引に連れられる。
残念ながら、兄貴は仕事を休むことができなくて一緒ではないが、
親父とお袋と僕の3人で、神社まで10分ほど歩いて初詣にやってきたんだ。
歩いている途中、去年の夏に胃の一部を切除したお袋がなんだか小さく見えて、
「こんなに小さかったっけ・・・」と、ちょっとドキッとした。
3日目の今日は、参拝客が多いとはいえ、元日に比べたら少なく、わりと早く最前列にいってお賽銭を投げられた。
そして3人揃って二回頭を下げ、二回拍手をし、手を合わせて頭を下げる。
親父は淡白なので、ちょっと頭を下げたらさっさと人ごみから抜けてしまった。
僕も、センター試験のお願い事をしてさっさと親父の所に行った。
お袋だけがずっと手を合わせている。
「母さん、元気でよかったね」
「ん? そうだな。あの時はどうなるかと思ったな。
お前、ちゃんとお礼言ったか?」
「え? お礼? なんで?」
「去年、母さんをちゃんと生かしてもらっただろう。
父さんは神様にお願いをしたからな。叶えてもらってありがとうってお礼を言ったんだ」
「500円も投げて、その上お礼言ってたんだ」
「お金の問題じゃない、気持ちの問題だ」
そこへ母さんが帰ってきた。
「お兄ちゃんの分もお礼言ってたから、長くなっちゃった」
「母さんもお礼言ったの?」
「そうよ。 みんなが健康でいられて感謝していますって、手を合わせておいたわ。
私とお兄ちゃんの分で、500円ずつ払ってね」
「うげ、1,000円じゃん」
「こういうのは気持ちの問題だから」
僕はなんだか、急に恥ずかしくなった。
「あのさ、オレ、おみくじ引いてくるね」
と言って、おみくじ所には向かわずに、もう一度参拝客の列に並んだ。
「みんなが健康でいられて感謝します。ありがとうございます」
と心の中で言ってみたら、なんだかくすぐったい様な、すがすがしいような気持ちになった。
おみくじを引いてくると言った手前、形だけでも引いてこようと思って引いたおみくじは、大吉だった。
「流れに身を任せれば、これまでの努力は自然と報われる」と書いてあった。
僕は、「そういうことか・・・」とつぶやきながら、じゃりじゃりと気持ちのいい音をたてる神社の中、親父とお袋のところに向かった。
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