窓の向こうに見える、不思議な格闘技を、エアは毎日見学に来ていました。
それは、「気」を相手にぶつけて、円の外に押し出す、という格闘技。
全身に流れる「気」の大きさが、勝敗を決めます。
その「気」を高めるために、たくさんの男の人が練習に励んでいるのでした。
ある日のこと。
エアが、いつものように練習を見学していると、道場の中から、大きな音が聞こえてきました。
そこには、大きな体をした3人の男の人と、地面にうずくまる、青い髪の男の人が見えました。
力の入りすぎで、青い髪の男の人が壁まで飛ばされてしまったのです。
その人は、毎日、ボロボロにされていました。
それでも、何度も立ち上がる姿に、エアは心の中でエールを送るのでした。
それから、何日が過ぎたでしょうか。
それまで、雨が続いたため、エアは久しぶりに道場を訪れました。
そして、あの青い髪の男の人を探します。
しかし、男の人の姿はありません。
すると突然、裏口の方から、誰かが倒れる音が聞こえてきました。
エアが、裏口にまわると、青い髪の男の人が、いつかの3人組にイジメられているではありませんか。
エアは、すぐに青い髪の男の人の前に、割って入ります。
さすがの3人組も、女の人に危害を加えることは出来ません。
女に守られやがって。
そう言って笑いながら、3人組は道場へと戻っていくのでした。
エアは、青い髪の男の人に手を貸すと、ゆっくりと立ち上がります。
そして、道場の医務室へと連れて行き、簡単な治療をしてあげました。
男の人は、苦しそうな笑顔で、お礼を言います。
それを見た、エア。
心の底から、怒りがこみ上げてきました。
男の人をベッドに寝かせると、ズン、ズンと歩きながら、道場へと向かいます。
そして、あの3人組の前まで来ると、円の方を指差します。
まさか、勝負するというのか?
3人組は、ヘラヘラと笑いましたが、エアは真剣です。
ずっと見学をしていたので、どういう風に闘えばいいのか、よく理解していました。
円の真ん中に立つ、エア。
3人組の一人が、仕方ないといった表情でエアの前に立ちます。
お互いに手のひらを相手に向けました。
行司さんの掛け声で、一斉に「気」を相手にぶつけます。
それは、風になってお互いの体を円の外へと送り出そうとします。
あんな華奢な女が勝てるわけ無い。
誰もが、そう思っていました。
しかし、円の外に飛ばされたのは、3人組の方。
道場内は、しーんと、静まり返りました。
エアの強い思いが、「気」に宿ったのです。
女に負けた。
そんなことを、3人組が許すはずはありません。
卑怯にも、3人一斉に円の中に入ると、行事さんの掛け声も待たずに、エアに「気」を送ります。
さすがのエアも、3人の「気」には勝てません。
このままでは、壁まで飛ばされてしまう。
誰もが、そう思った、その時でした。
突然、エアの「気」が高まったかと思うと、今度は3人組みが押され始めました。
エアが後ろを振り向くと、そこには、キズだらけの青い髪の男の人が立っていました。
誰かを守りたい。
その為に、強くなりたいんだ。
青い男の人は、そう願い、道場の門をくぐりました。
エアを守りたい、という思いが、男の人の「気」を高めてくれたのです。
その「気」に対して、3人組の「気」には、全く信念がありません。
月日が流れるにつれて、新人をイジメることの為に、「気」を高めるようになってしまったのです。
壁に転がっていく3人組。
それを見届けた、青い髪の男の人の体を、エアはしっかりと抱きとめるのでした。
次の日。
道場内には、いつも以上の活気が溢れていました。
昨日の青い男の人の姿を見て、忘れていた気持ちを思い出したのです。
その様子を、エアが窓越しに見つめていました。
「本当にやりたかったこと。忘れないでね」
窓の向こうから手を振っているエアを見つけると、青い男の人は、すぐに玄関のドアを開けました。
しかし、そこにエアの姿はありませんでした。
爽やかな風が吹きました。
空のように、青く澄んだ髪の毛が、緩やかになびいているのでした。
『5分で癒される物語』を気に入っていただけたら、『お気に入り』に登録いただき、
今度はあなたのお友達にも、ぜひこの物語を教えてあげてください。
また、上のQRコードをクリックすると、携帯電話用のURL送信画面が開きます!
PC版のURLをお友達に送信
http://iyashi-story.com
『5分で癒される物語』を一緒に盛上げてくださる作家さんを募集しています!
詳しくは『作家さん募集ページ』まで
癒しの物語はリンクフリーです。
下のバナーを自由にお持ち帰り下さい。
![]()
(88×31 :小)
![]()
(100×28 :中)
![]()
(150×42 :大)
【ご紹介文】
5分で癒される物語を配信しています。時間がない人でもちょっとの時間にちょっとだけ元気になれる作品集
相互リンクについてはリンクページを準備中です。